Morzart Symphony Orchestra
モーツァルト・シンフォニー・オーケストラ

マエストロ・ペンの  
  ある日のモーツァルト (1)

            12月14日

 1784年12月14日、モーツアルトはフリーメーソンの支部である「ツア・ヴォールテーティヒカイト」の第1級(見習い)として入会を許可されます。ヴォルテーティヒカイトとは親切心というような意味ですね。
 フリーメーソンの名前はモーツアルトの人生を辿ると、28歳のこの年から死の時まで頻繁に見受けられます。世界的秘密結社といった何だかドキドキするようなイメージのあるフリーメーソンですが、調べると「会員同士の親睦を図る友愛団体」だと出ています。紀元は諸説あり、最も有力なのは1360年にロンドンのウィンザー城が建てられた際に参加した石工達が、権利や技術、知識が他に流出しないように暗号を用いて通信をしたのが最初だと言われていますが、他にもテンプル騎士団説、ソロモン神殿建築家説、ピラミッド建設家説など様々です。はっきりしているのは、1717年にロンドンに最初のグランド・ブリッジ(本部)が設立され、1723年にはJ.アンダーソンによりフリーメーソン憲章が定められ、現在に続くフリーメーソンはここから始まっているようですね。面白いのは、会員はキリスト教に限らず、ユダヤ教、イスラム教、仏教など何教を信奉していても構わないんだそうで、ただし篤い信仰心を持っている事が条件だとか。日本にも支部があり、鳩山一郎や佐藤栄作の名前が見えます。なんでも日本でも2000人くらいいるそうな。
 親睦団体ですから様々な人脈が形成され、中には様々なジャンルの有力者がいるでしょう。政治的には中立と言いながら、秘密結社の色を濃くしているのはここらに理由があるんでしょうね。モーツアルトは入会から早くして上位の階級に出世しており、有名人には甘いのかな、と感じさせます。ちなみに父レオポルトは翌年の四月に入会しており、ハイドン、シカネーダーらも会員だったと言います。晩年「魔笛」の中にフリーメーソンの秘密を暴露し、その為に暗殺されたというのは全く根拠のない話ですよ。会員同士は助け合わねばならない決まりらしく、幾度も借金を申し込まれたプフベルクも会員です。

 友愛をうたった団体とは言え、モーツアルトは会の為に誇らしげに活動しています。一流人の集いだったのでしょう。モーツアルトは嬉しかったんでしょうね。それにしても日本のどこに支部があるのかなあ。覗いてみたいな。

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